飛行高射砲台
経緯
第二次大戦も半ばを過ぎる頃、連合軍のドイツ本土に対する戦略爆撃は、熾烈さを増しつつあった。
ドイツ軍はそれらを、高射砲と航空機で迎え撃った。
ドイツ軍の高射砲は優れていたために成果を上げていたが、連合軍爆撃機がより高空を飛行するようになったため、弾が届かないという事態が生じてきた。
これを解決するためには、射程を伸ばせば良いのだが、限界がある。また、命中精度も落ちる。
それなら、高射砲を空中に持ち上げて射程と精度を確保すればよい、という発想から生まれたのが本機である。
空中に静止する必要があることから、ヘリコプタ方式とされた。
空力特性は考慮する必要がないこと、軽量化、生産性向上から、機体は鋼管フレームに簡易外装を施したもので、一部はフレームむき出しのままとなっている。
そのため実質防御力は皆無に近いので、自ずと夜間迎撃専門となった。
搭載する高射砲は、無反動方式とされた。理由は、通常の砲では発射の反動で機体が押し下げられ、最悪墜落するためである。
搭載砲はテストの結果、新開発の88ミリ無反動砲が採用された。
本機には、飛行のための要員と、砲の操作のための要員が乗り込む。
機体要員は操縦士と航法無線士で、こちらは空軍、また、砲要員は砲手と装填手で、こちらは陸軍の兵士があたることになり、このことが後々運用面での無用な軋轢を生むこととなる。
完成した機体は、通常のヘリコプタとしてみれば、可もなく不可もなく(といっても、当時の水準から見れば平均点以上ではあった。)だが、プラットホームとしてみれば、十分安定しているとは言い難かった。
また、安定性を増すためにローターの直径を大きくしたために砲の可動範囲が狭く、正確に照準するには操縦士と砲手の連携が重要になるが、上述の通り、それぞれの所属が異なるため、技術とは別の意味での困難を伴った。
コストが高くつく割に成果が小さいとの判断もあり、結局、3機試作されたのみで終わる。
また、エンジンをジェット&ダクテッドファン化する案も出されたが、計画のみで終わる。
図面と一部パーツは、同様の事態に悩まされていた日本に送られ、試作されるも、無反動砲でなく、通常の野砲を使用したために、試射時に不時着を余儀なくされる。修理後、今度は噴進砲を搭載。テストを兼ねて実戦に投入したところ、1機撃墜の成果を上げるも護衛戦闘機に撃墜される。技術的な問題もさることながら、制空権を失った日本では運用もままならなかったのである。
特徴
・前方左右と後方左右にロータ。エンジンは2基で、それぞれ前後のロータを回す。
・ロータはトルク打ち消しのため、左右で逆回り。
・コンパクト化のため、オーバーラップ式。
・88ミリ無反動砲を中央部に。
・砲座の下はメッシュ化により、軽量化と空気抵抗の減少を図る。
・操縦要員は機首コクピットに、砲術要員は砲左右の座席に。砲座は簡易防盾に囲まれてはいるが、基本的に開放式。(結果、砲要員の安全性軽視とのクレームが陸軍からつくことに。)
・砲は半自動化され、最低砲手一人がいれば発射可能。
諸元
・全長:?m
・全幅:?m
・エンジン:
・乗員数:4(操縦士、副操縦士、砲手、装填手)
各部詳細