対潜ヘリコプタ


経緯

 ドイツ軍のUボートによる被害に頭を悩ませていた連合軍は、対潜戦闘能力の強化を求められていた。
 そこで、アメリカ海軍は軽巡洋艦、駆逐艦に航空機を搭載し、空からUボートをハントする計画を立案し、航空機メーカーに提示した。

 その要求するところは、以下の通りであった。
・軽飛行機なみのサイズと重量。
・速度は遅くても良い。
・航続距離も短くて良い。
・航空爆雷を2〜3個搭載。
・離艦は直接行い、着艦は一度海上に降りてからクレーンで釣り上げる。

 A社は、自主開発中だったヘリコプタを応用することを考えた。
 ただし、当時はまだテイルロータ方式は確立しておらず、メインロータを二基装備して反対に回すことでトルクの打ち消しを図っていた。

 だが、コンパクト化の要求には、ロータをパラレルに装備したのでは応えられない。そこで、縦に積むことを考えた。
 軽量化のため、運用形態から装甲は必要ないと考えられたため、機体は骨組みだけとされ、パイロットもシートに括りつけられる格好となった。

 完成した機体は、重量の点では目標値をクリアしていたが、エンジンの非力さはいかんともしがたく、航空爆雷は1個搭載するのがやっとだった。
 そこで、軽量化した航空魚雷を装備することで、攻撃力を確保した。

 既に地上でのテスト時から安定性の不足は指摘されていたが、艦上でのテストが始まると、益々顕著なものとなっていた。
 とくに離艦時に甲板に叩き付けられるおそれが大きく、そのため回収用のクレーンで一度釣り上げた状態で始動し、揚力がついた時点で切り離すという方式をとることとした。

 結局、十分な運用性が認められず、実用試作まで進んだところで、不採用となった。

 また、さらに軽量化のためと要員の安全性確保のため、無人化して、有線によりリモートコントロールする方式も提案されたが、有線では様々な問題があることが明らかとなり、中止となった。

 なお、本機の発想は、やがてDASHへと受け継がれていくこととなる。

特徴

・エンジンは、オートバイ用水平対向2気筒型を発展させたもので、縦に2基積んで、それぞれのロータを回転させる。
・着水用のフロートは通常時は畳まれていて、着水前にエンジンからの圧搾空気により、膨らませるようになっている。

諸元

・全長:?m
・全幅:?m
・エンジン:
・乗員数:1

各部詳細