対地攻撃機
経緯
ノルマンディー上陸以後、連合軍は地上部隊の援護のために、戦術目標に対する攻撃の機会が増えたが、いわゆる爆撃機では小回りがきかないため、もっぱらその任務には戦闘機(戦闘爆撃機)が充てられていた。
ただし、戦闘機ではウェポン搭載量が少ないことや、対地防御性の脆弱さ等から、効果的な地上攻撃機の登場が望まれた。
これを受けて、米陸軍はリパブリッシャー社に以下の要件を提示して、開発に当たらせた。
・大きなウェポン搭載量
・多彩で柔軟なウェポンの選択性
・対空砲火に対する優れた防御力
・戦場上空での滞空時間を確保するための航続性能
・双発/単座
リ社の設計技師A・J・コワルスキーが、これら要件を加味して設計した機体は、それまでの戦闘機や爆撃機とは大分趣きを異にするものだった。
本機の最大の特徴は、機首下面から主翼内側半分(内翼)にかけて、全くの平面で構成されていることであろう。(その分、主翼外側半分(外翼)には強い上半角が与えられていた。)
これには、二つの意味があった。
(1) 防御のための装甲化
対地攻撃の場合、敵の砲火は殆どが機体下面から寄せられるため、下面に防御装甲を施すことが有効である。そのため、パイロットやエンジン、燃料タンクなど、防御すべきものを集中して配置し、そこに戦車並みの装甲を施すことが考えられた。
本機の場合、装甲には圧延鋼の切り出し部材が用いられることになったが、製造期間短縮のため、加工せずに(即ち平坦なままで)使用することが要請された。
(2) ハードポイントの融通性向上
平坦化は、通称「イゴ(囲碁)ボード(ちなみにAは囲碁の名人である。)」と呼ばれる、桝目状の懸吊具を装着するためにも有効であった。これは、すべての交点に爆装が可能というもので、作戦に合わせて、実質無限ともいえる爆装バリエーションを生み出すことができる、画期的アイデアだった。
このように、後のA-X計画(A-9,A-10)を先取りするような機体であったが、下面装甲化が裏目に出て、安定した操縦性と十分なウェポン搭載量を得られず、試作のみで終わった。
なお、これらの問題点はより強力なエンジン、具体的はジェットエンジンの採用によって解消される可能性があることも示唆されたが、結局、第二次大戦の終結により計画自体が中止となった。
特徴
・前車輪式である。これは、機体が地上でも水平を保っている方が、爆装が容易なためである。
・エンジンは主翼の後部に、支柱を介して後ろ向きに取り付けられている。これは対空砲火を避けるためと、爆弾装着時に邪魔にならないようにするためである。
・エンジン支柱部分にはラジエータを内蔵。
・主脚は内翼の端部に支点をもち、外翼内に引き込まれる。
(外翼もかなりの厚さがあるため、可能となっている。)
・外翼にもハードポイントが一個所あるが、増槽用で爆装は不可。
・固定機銃は持たないが、ガンパックとして懸吊可能。
諸元
・全長:?m
・全幅:?m
・エンジン:
・乗員数:1
各部詳細